FEATURE / 特集 PEOPLE VOL.05

vol5

『使う人の創造性と自分のブーム」』冨沢 ノボル x 葛西 美歌

冨沢 ノボル x 葛西 美歌

使う人の創造性と自分のブーム

葛西(以下、K):

冨沢さん、すごい配色ですね。

冨沢ノボル(以下、T):

最近自分のなかで流行ってるのは蛍光色。白もかな。とにかくすべてに使っちゃうんです。もちろん全体ってわけじゃなくてポイントっていうこともあるけど。仕事もそうなんだけど、普段着でも最近色が多い。今日のラッキーカラーとかで自分を決めちゃったりもする。今日はサーモンピンクなんですけど、昨日は藤色。同じ形のものを6色とか持ってるんですよ。いつの間にかそういうコーディネイトになっちゃうんです。それから普段着という意味ではセットアップがブーム。セットアップってスーツじゃん。スーツってけっこういいなと思って。ぼくらはあまり着ないじゃないですか。スーツは普通にかっこいい。それで色も合わせちゃうの(笑)。

K:

そのセットっていう感じはお仕事で活かされてるんですか?

I:

あまりないですね。それはやばいでしょ(笑)。メイクアップアーティストは普通のほうがいいんですよ。いろいろやってみたけど、フレッシュのほうがいい。自分のスタイルと仕事はまったく違う。東京はシックな人が多いですよね。もうちょっとがっちりやってもいいかなって思う。いまはそれでもけっこう流行ってきたほうだとは思うけど。ナイキIDが流行ってて、あれはどういうコンセプトでもできるじゃない。今後帽子でもそういうのをやってもおもしろいかもね。

K:

おもしろいかもしれませんね。自分の組み合わせで好きな色で、オーダーメイド。

I:

いまはもう、こだわりが個人個人わからないじゃん。こっちが作ったのはサンプル的にお店には置くけど、ここがこう違うとか、そういうことができていいと思う。自分の友達でもスキャナーを導入したやつがいて、全身をスキャンしちゃうんですよ。それで採寸は全部できるじゃん。それにぴったり合うデザインを提案しつつ、色とかはお客さんに任せる。そういうのもいいかなと思いますね。ぼくはナイキID、全部一色にしちゃった。

K:

ラッキーカラー?

I:

蛍光イエロー(笑)。ステッチも全部。名前も入るしね。帽子で名前入りとかどうなの?

K:

入れてる人もいますよ。つばの裏の部分とかに。

I:

スーツとかでも名前入れるじゃん。

K:

大事にしてくれてる感じしますよね。自分のものっていう感じがする。デザイナーとしても大事にしてずっとかぶって欲しいし。そういう帽子はわたしも作りたいですね。

I:

そうだよね。ずっと使ってくれるっていう感じがするもんね。あとは髪の毛をセットしたら帽子はかぶらないとかあるじゃん。うちのじいちゃんは、髭剃りも泡立てて。こだわり。髪も薄いんだけど、セットしてるんだよ。グリースでぴたっとしてから帽子かぶるんだよね。ああいうのは何かいいなって思う。

K:

髪の毛のスタイリングと帽子はセットだと思いますよ、本当は。

T:

ぐちゃぐちゃだからかぶるとかじゃなくてね。

K:

そういう目的もあっていいとは思うんですけど、本来はセッティングをして仕上げに帽子をかぶるっていうのが理想的じゃないかなって思う。最近は髪の毛つぶれるからかぶらないっていう人が多いんですよ。

T:

帽子の受容性が増えたからこれからそういうセットでのスタイリングも増えてくるかもね。でもまだ帽子とヘアがいっしょにっていうのはパーティっぽくなっちゃうんだよね(笑)

?? おふたりは何か注目してる素材とかはありますか?

K:

個人的にはガラスが好きなんですよ。ガラスで帽子を作ってみたい。ガラスの靴があるじゃないですか、あれみたいに帽子が作れたらかっこいいなってずっと思ってるんです。だからいまというより、ずっと注目してたんですけど。かぶるひとが不快じゃない形で作れたらなって。

T:

ガラス作ったことある?

K:

ありますよ。

T:

プーッて膨らんでね。すごいかわいいじゃん。色塗ったらステンドグラスみたいになるしね。ガラスまでいっちゃうと夢になっちゃうかもしれないけど、もうちょっとそれに近いテクスチャーなら作れるかもね。それはフォーエヴァーな自分の一品だよね。

K:

それを商品化っていうことをやってみたい。でも素材がわからないんですよ、まだ。ガラスじゃあぶないから(笑)。質感とか、見た感じのすずしさが好きなんですよ。だから全体的にガラスじゃなくても、ポイントでつけられたら素敵だなって。ボタンならできないこともないかなって。

T:

まあ、夢とか欲を持ってないとね。それがないと何もできないもんね。

K:

冨沢さんは何か素材とか注目のものはありますか?

T:

立体的なものはないなあ。自分のなかでブームってあって、いまは装飾的なものに飽きてきてるんです。一時期、付け爪とかにハマッたこともあったんだけど。付け爪を全部ヘアーで作ったんですよ。まつげも羽とかで作ったりしたこともあるし。いまはそれにちょっと飽きてきてる。顔面に何かをつけていくっていうのは興味なくなっちゃった。だからいまは色ですね。今度作るものは色の組み合わせをグラフィック的に見せていくっていうのをやろうと思ってるんです。

K:

装飾という意味ではわたしもそうかも。帽子は帽子であるべきだと思うんです。付属は帽子を引き立てるものだと。ボリュームが出したいなら帽子のボリュームを出すっていうのがいまのわたしの考えですね。

T:

そうそう、ブームっていうほどではないんだけどね、いま、帽子のケースもいいかもって思ってる。あれかわいいじゃん。今日はサングラスをしてきたんだけど、メガネはケースがあるじゃん。それもけっこうかわいいのがあるから、帽子ケースもどんどん出してほしい。いまはみんな壁にかけたりしてるんですか。

K:

そういう人が多いかな。あとは重ねちゃったり。

T:

もっと簡単にできるやり方で、自由にできたらいいな。こっちで型だけ作って回りはあなた次第みたいなのもいいかなって。見えるようにしてあげてもいいよね。シースルーとか。かわいくディスプレイできる。

K:

やりたいですね、アクリルで。そのままディスプレイできるし、型もくずれず、オブジェとしてもいいし。

T:

従来のかわいいのもあるけど、形はいろいろ合っていいと思う。ぼくのリクエストは球体になってるやつ。あったらいいな。

?? 最初に冨沢さんから、日常のすべてがデザインのアイディアだというお話がありましたが、触感とかもアイディアに?

T:

どうだろう。いつもいつも深くは考えてないから。(フローズンデザートを食べながら)でもいまならひんやりした感じいいよね(笑)。そうそう、いまね、ひんやりしたゼリー状の枕を頼もうと思ってるんだよ。寝苦しい夜にぴったり(笑)。しかも冷蔵庫で冷やさなくてもいいの。

K:

その素材ってなんですか?

T:

何だろう、何かゼリー状のやつ。そうだね、帽子とかでもいいじゃん。

K:

いいですね、冗談じゃなく(笑)。

T:

またまたブームに戻るけど、ぼくは服でもなんでも気に入ったら、いろいろな色を買う。だから帽子は一色のほうが好きだけど、一般の人の服はシックな人が多いから、帽子は色がいっぱいあってもいいかなって。髪も一段明るい目の色が自然色になったんですよ。チャートがちょっと変わった。だからそのチャート表も、帽子を作るときにサンプルで置いておいてあげてもいいかもしれない。

K:

ワントーン上がったことで、ファッション全体が変わりますもんね。

T:

そうだよね。帽子から出てくる髪の毛の色が変わるんだもん。

K:

帽子側も変えていかないといけないですよね。

冨沢 ノボル x 葛西 美歌

デザインの実用性と美しさ

T:

今回の帽子について少し話しましょうか。一般のみなさんがわりとシックなんですよ。シックでいいと思いますよ、もちろん。帽子ってさ、服装は重要になってくるでしょ。カジュアルなところに、派手な帽子ってあわせられないと思う。だから自分の考えたのはハイファッションの人だけだと思う。これをシャレでやれる人。このカットラインを。このツバってリーゼントっぽい、前衛的なフォルムになっていくと思う。ツバが短ければキュートな印象になるし。あとは実用性が重要ですよね。

K:

それは絶対に重要です。

T:

フェスとかいくとノッポさんみたいな帽子あるじゃん。あれはやっぱりアウトドアだよね。しかもフェスとかにいると違和感なくかっこよく見える。

K:

メイクはアウトドアとかあるのですか?

T:

あまりヘタなことはいえないなあ(笑)。UVカット入れるとホワイト入っちゃうじゃん。だから難しい。根底にあるのは、二タイプ。モテるか実用か。フェスみたいな環境だと両立はなかなかね。どっちにいきたいのかだと思う。日焼けを気にすると白塗りが入るからモテるメイクは難しい。だからそんなに見せないことだね(笑)。

K:

顔を出さない(笑)。

T:

実用っていうことでいうと、服は着るじゃん。着ないとまずいでしょ(笑)。でもメイクはしなくてもいいと思う。メイクアップって、アップしてるっていうことだから。やりすぎて下げちゃうのもあるでしょ。でもね、やりすぎても、そういう女の人がメイクを落としたときにふっと見せる表情とか、そういうのもいい。とにかく個人がアップしてればいい。けど男ってあまりメイクしないよね。だから男のメイクを流行らせようと思ってるんだよ。カップルで歩いてても女の子のメイクがアップしてるから、目力が違いすぎる。男は弱いよね。押されてる気がする。カップルでも。だからぼくは男でもメイクはちょっとしたほうがいいかなって。グルーミングバーっていうのが流行ってるらしいけれどね。

K:

本当!ありだと思いますよ。過剰にやっちゃうと違うと思うけど。ナルシストになってもいけないしね。

T:

でも女性の美しさは、ちょっと未完成な感じがいいのかな。意識してるような感じだけど、ふっと抜けてる。キメキメしすぎないところにちょっと女の子っぽいかなって。ばちっていうののちょっと手前がいいな。メイクの部分だけじゃなく全体として。メイクとか髪型がキメキメだとしたらちょっとだけルーズなスタイリングだったりしたらかわいい。顔面は決まってるけどスウェットみたいな(笑)。やっぱり全身キメキメだとちょっとね。スタイリングは決まってるんだけど、顔はノーメイクとか。ルーズな感じ。そのほうがいい。

K:

わたしが女としていいなって思うのは、その人が個性を探してる姿。いろいろ試してみたりしてる感じが好き。自分のスタイルが決まっちゃってる人より、いろいろ探してて、これいいねってチャレンジしてる姿が素敵だなって思う。だから未完成っていうのはすごく共感します。案外、魅力っていうのはそういう姿全体からかもしだされるものなんじゃないかな。帽子とか洋服とかメイクとか、そういうのは、あくまでも自分を表現する道具のひとつだと思いますよ。

T:

賛成。自分たちは職業的にそのお手伝いをしているという感じだよね。

プロフィール

ヘアメイクアップアー ティスト/冨沢 ノボル Noboru Tomizawa

Noboru Tomizawa
1967年生まれ。多数のファッション雑誌、TVCM、CJジャケット、PV やコレクション等で活躍し、アートとも呼べるメイクや斬新なヘアを作りだせる日本のトップヘ アメイクアーティストデザイナー。また音楽好きとしても知られ、フォトグラファーの半沢健氏と音楽 ユニット「DJ花見」を展開中。

クリハラデザイナー/葛西 美歌 Mika Kasai

Mika Kasai
1983年生まれ。文化服装学院アパレルデザイン科卒業後、株式会社 栗原入社。様々なライセンスブランド、自社ブランドの milsa、overrideの企画を担当し、立ち上げ当初からカオリノモリの企画を担当する。帽子は人の第一印象を決める顔の近くにあるアイテムだからこそ、ファッションという観点だけでなく、コミュニケーションツールやライフスタイルの1つだと考えています。私自身も帽子に携わってきて様々な素敵な出会いがありました。目で見て可愛くて、もちろん被って素敵になれる。被った人の世界が広がるような帽子作りを心がけています。新しい素材作りや、形にも更に挑戦して帽子自体の世界も広げて行 きたいです。