FEATURE / 特集 PEOPLE SPECIAL01

overriders #01

HISTORY

栗原社長

2009年年末、10周年を迎えたoverride。そして2010年5月、フラッグシップショップの「明治通り店」がリニューアルオープン。「帽子をメジャーに」という現社長 栗原亮の想いのもと1999年キャットストリートに一号店をオープンさせた。ショップ設立への経緯と、ブランドの成り立ちを、1922年に創業した株式会社栗原の歴史と、栗原亮の半生、帽子を取り巻く時代背景から探っていくシリーズ「HISTORY」。


ハッピーハットカンパニー。override 世界へ。

世界の帽子を変えていく。

overrideをはじめて10年。“帽子をメジャーに”というミッションは、最初は日本国内を意識していた言葉でしたが、国内で広がりを見せるに連れて、新たに“世界へ”というビジョンも見えてきました。 実は、世界的に見ても日本は帽子先進国なんです。うちだけじゃなくファッション帽子を扱うお店が日本では、いま凄く多い。アメリカやヨーロッパは、伝統的な帽子屋さんはあるけど、若い世代に向けてファッションを切り口に帽子を展開しているお店があまりないのが現状です。だからこそ、世界的に帽子をメジャーにしていくには、日本から発信をしていく必要があるんじゃないかと考えました。
その布石として、実行したのが5年前のアメリカ出店。最初は西海岸のオレンジカウンティに、2年後にはニューヨークのSOHOに。このショップを足がかりに、世界で帽子の魅力を伝えていきたい。これが、overrideの新しい挑戦です。実際にアメリカに行って感じたのは、私が考えていた帽子への想いを同じようにアメリカの帽子屋さんも考えていたことです。彼らも祖父世代が創業した帽子屋を受け継いでいて、同じようなバックボーンから、トラディショナルな帽子をファッションアイテムとしての帽子に変えていこう。そして、帽子の魅力をもっと世間の人達に伝えていこうと思っているんです。彼らの想いも一緒になって、日本に留まらず世界へ、帽子の魅力を伝えていかなければならないと、また強い使命感を駆り立てられました。



栗原社長

アメリカ進出。オレンジカウンティ the Lab

5年前、世界進出の一店目となったのが、西海岸カリフォルニア州のオレンジカウンティにあるthe Labというファッションヴィレッジでした。 西海岸でもハリウッドやサンタモニカではなく、そこからさらに車で40分くらい走った所にある小さな街。今から10年以上前、ここに「すごく面白いファッションヴィレッジがある」という話を聞いて見にいきました。もともと工場の廃墟だった場所に、アパレルのショップやレストラン、カフェや美容院なんかが集まっていて、作られたこぎれいな感じではなく、建物の歴史とか、街の風合いがかもしだす独特の雰囲気があって、そこにカリフォルニアの真っ赤な太陽が照りつけて、クールな空間が出来上がっていたんです。 その頃から、アメリカに出店するならここだという思いが常にありました。

数年ぶりに訪れたある日、あるショップが抜けることになりオーナーから「次の店は決まってないから、帽子屋を出してみないか?」と言われました。そんなに急な動きを想定していたわけではなかったので、驚きましたが「来週までに契約をしてくれ」というオーナーの申し出に「やります!」と返事をしていました。そこからは日本とアメリカの往復で、現地法人を作るために弁護士を探したり、アメリカに住んでいた弟を現地社長に任命したり、慌ただしい準備を経て現地での新ブランド「art+hat」の造語で“arth”と新しいショップをオープンさせました。 世間的にはファッションとしての帽子は、まだまだ浸透していませんでしたが、the Labのお客さんには、受け入れてもらうことができ、アメリカでも認知されるようになりました。それで「西が成功したなら、次は東だ」と今度はニューヨークへ出店したわけです。

“夢を見る”から“夢をかなえる”へ

今でも、オレンジカウンティにはよく行きますが、行く度に「ここは、いいな」と思います。ビバリーヒルズなどの高級住宅街から、オレンジカウンティに移ってきた人たちが、古き良きアメリカというか、そういったクールな文化を残そうとしているんですよ。最近は日本でもこんな空間が出来ないかなと思っています。空気がおいしくてリラックス出来て、なおかつ街としてもクールさがあって。実現できたら、帽子もファッションも新しい壁を越えられるような気がするんです。 大きな夢ばかりですが、私は想像力を大きくしておかなきゃいけないと思っています。社員から、新しいアイデアが出てもそれが私の想像力の範疇を越えていたら、受け入れられないし実現できない。だから私は、つねに最大限に想像力を拡げていなきゃいけない、その想像力以上には会社大きくなれないから。私が車を作っている姿を自分で想像できないから、うちの会社が車屋になることはない、でも世界中で帽子が靴やバック、アクセサリーのような必須のファッションアイテムになる姿は想像できるから、そうなる可能性はあるんです。 帽子を通じて人を幸せにする“ハッピーハットカンパニー”というスローガン。それが世界中に広がっていく姿も想像できる夢。その夢を、“見る”から“叶える”に変えていくこと。それが、これからのoverrideの向かう道だと考えています。